はじめに:「うちの子だけ?」と悩む保護者の方へ
「朝の支度で急に泣き出す」「ゲームで負けると物を投げてしまう」
小学生のお子さんが見せるかんしゃくに、どう対応すればいいか分からず、悩んでいませんか?
かんしゃくは、感情のコントロールがまだ未熟な時期に起こる自然な現象です。特に発達に特性があるお子さんは、環境の変化やフラストレーションを言葉で伝えにくいため、かんしゃくにつながりやすいのです。
横浜市南区の放課後等デイサービス「ひとつぼし」では、療育での専門的なアプローチと同時に、ご家庭でできる具体的な工夫を連携して行うことが大切だと考えています。
この記事では、「声かけのヒント」と「環境調整の具体例」を、専門的な根拠(文献リンク付き)と共にご紹介します。
予防の鍵は「見通し」:かんしゃくを防ぐ環境調整のヒント
かんしゃくが起きてから対処するより、事前に原因を取り除く「予防的環境調整」が効果的です。特に感覚が敏感なお子さんや、予期せぬ変化が苦手なお子さんに有効です。
視覚で理解を助ける:予定やルールを「見える化」する
具体的な方法:
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視覚スケジュール:朝の支度や帰宅後の流れを、絵カードやホワイトボードに書いて貼っておきます。「何がいつ起こるか」の見通しがつくことで、不安が軽減されます。
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タイマーの活用:「あと5分で終わり」を視覚的に伝えるタイマーを使います。切り替えが苦手な子にとって、時間が見えることは安心感につながります。
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専門的な根拠:
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発達障害情報・支援センター(厚生労働省関連)では、視覚的な構造化が行動の安定に有効とされています。
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安心できる場所:クールダウン・スペースを作る
具体的な方法:
- ソファの隅や押し入れなど、刺激が少なく安心できる場所に「クールダウン・コーナー」を設けます。
- お気に入りの毛布、クッション、感覚刺激の少ないおもちゃなどを置き、自分で落ち着ける環境を整えます。
ポイント
:この場所は「罰を与える場所」ではなく、「気持ちを休ませる場所」として位置づけることが重要です。
感情を受け止める:かんしゃく時の「声かけ」具体例
かんしゃくが起きたとき、親も冷静でいるのは難しいものですが、「叱る」前に「受け止める」声かけに切り替えるだけで、子どもの落ち着き方に大きな違いが出ます。
感情を代弁する:気持ちに「名前」をつけてあげる
子どもが「嫌だ!」「もうやだ!」と叫んでいるとき、その裏にある感情を親が言葉で代弁してあげます。
| 子どもの行動 | 親の代弁例 | 効果 |
|---|---|---|
| 泣き叫ぶ | 「悔しかったんだね」「思い通りにいかなくて悲しいね」 | 自分の感情が理解されたことで、安心感が生まれます。 |
| 物を投げる | 「怒りすぎてもうどうしたらいいかわからないね」 | 混乱している気持ちを整理するきっかけを与えられます。 |
選択肢を提示する:「自己決定」の感覚を促す
かんしゃくが少し収まったら、子どもに「自分で選ぶ」機会を与え、自己決定感を促します。
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「今すぐやる? それとも、5分休んでからやる?」
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「宿題は、算数から始める? それとも国語から?」
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「今日は青い服と赤い服、どっちを着ていく?」
小さな決定権を持たせることで、子どもの心の負担が軽くなります。
※日本発達心理学会「子どもの感情発達」でも、自己肯定感と自主性の関連が指摘されています。
状況別:よくある場面での具体的な対応の流れ
scene1:遊びやゲームの切り替え時(順番が守れない)
- 予防:
遊びを始める前に「あと1回で終わりね」「時計の長い針が△△に来たらおしまい」と、見通しを明確に伝えます。 - かんしゃく発生時:
叱らず、「やめたくなかったんだね」と気持ちを代弁し、一旦クールダウン・スペースへ誘導します。 - 事後:
「次はどうすれば最後まで気持ちよく遊べるか」を一緒に考え、代わりの対応(例: 次は譲る練習をする)を一緒に決めます。
scene2:宿題や学習で集中できない時
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予防:
宿題の量を小分けにし、休憩時間を事前に設定します。 -
かんしゃく発生時:
「わからないね、怒りたくなっちゃったね」と代弁し、一旦休憩させます(5分程度の別の活動へ)。 -
事後:
休憩後、「わかる部分」から再開し、「ここまでできたね、すごい!」と小さな成功を褒めて、自信を回復させます。
まとめ:家庭と療育で「安心の土台」を築く
かんしゃく対応は、一度成功すれば終わりではありません。日々の声かけと環境調整の繰り返しが、子どもの「感情をコントロールする力」と「自己表現力」を育てていきます。
横浜市南区の「ひとつぼし」では、ご家庭での具体的な実践方法についても、スタッフがフィードバックいたします。一人で悩まず、ぜひ私たちと一緒に、お子さんの成長の土台を築いていきましょう。
「家庭で起こる かんしゃく対応」のQ&A
まずは安全を確保し、静かな場所に移動させてあげましょう。無理に話しかけたり制止したりせず、子どもが落ち着くまでそっと見守ります。気持ちが落ち着いた後に、「イヤだったね」「びっくりしたね」と、感情を言葉にして代弁することで安心感を与えられます。
多くの場合、「疲れ」「空腹」「予定の変化」「思い通りにならなかった」などが背景にあります。
その瞬間に原因を探ろうとせず、まずは「困っているんだね」と共感的に受け止め、落ち着いた後に少しずつ話を聞くようにしましょう。
まずは双方の安全を最優先にし、距離を取ります。
その上で、どちらの気持ちも尊重しながら順番に話を聞くことが大切です。
「怒りたくなるほどイヤだったんだね」「でもたたくのはダメだよ」と、感情の理解と行動のルールを分けて伝えることを意識しましょう。
家と外では環境や刺激量が大きく違います。
外の場では音や人の動きが多く、予想外の出来事が増えるため、感情のコントロールが難しくなることがあります。
家庭では「今日はどんなことがあったの?」とゆっくり振り返る時間をつくり、安心して気持ちを整理できるようにしてみましょう。
日常の中で「気持ちを伝える練習」を少しずつ取り入れてみましょう。
たとえば、絵カードや気持ちの表情カードを使って「今の気持ちはどれ?」と確認するのも効果的です。
また、うまく伝えられたときには「言えたね」「がんばったね」とすぐにほめてあげることで、自己表現の意欲が高まります。
保護者の方へのメッセージ
かんしゃくは「困った行動」ではなく、「気持ちの表し方の途中段階」です。
子どもが感情を言葉で伝えられるようになるまで、時間がかかることもあります。
療育の現場でも、家庭でも、「わかってもらえた」「気持ちを受け止めてもらえた」という経験が、次の一歩につながります。
焦らず、少しずつ一緒に練習していきましょう。
ひとつぼしでは、ご家庭と連携しながらお子さまの成長をサポートしています。
悩みを一人で抱え込まず、ぜひ一度見学・体験教室にご参加ください。スタッフ一同、心よりお待ちしています。
📞 お問い合わせ・見学のご案内
児童発達支援・放課後等デイサービス ひとつぼし
所在地:神奈川県横浜市南区蒔田
電話番号:045-325-8082
体験・見学をご希望の方は、お電話またはホームページからお気軽にお問い合わせください。
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スタッフ一同、心よりお待ちしています。
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